「もっと現場に近いところで働きたい」。マーケティング担当から、沖永良部島の現地プロジェクトリーダーへ 職員インタビューvol.4 川西尚仁さん

インタビュー

「もっと現場に近いところで働きたい」。マーケティング担当から、沖永良部島の現地プロジェクトリーダーへ 職員インタビューvol.4 川西尚仁さん

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川西尚仁さんは2027年度から「地域みらい留学」に参画する沖永良部高校(鹿児島県)において、島外から生徒を受け入れるための住まいや募集体制の整備に取り組んでいます。地域・教育魅力化プラットフォーム(以下、CPF)に入職した当初の担当はマーケティングでした。そこから、現在の役割へと転じたことは、自身にとっても大きな挑戦でした。

なぜマーケティングから現場へと仕事の軸を移したのか。その背景にあった葛藤や、現地で地域の人たちとともにつくり上げていく仕事の面白さについてお話を聞きました。

「中高生の主体的な進路選択に関わりたい」IT・教育スタートアップからCPFへ

  1. Qこれまでのキャリアと、CPFに入職したきっかけを教えてください。

新卒で入社したIT企業では、Web接客ツールのカスタマーサクセス(CS)とLINE公式アカウントの配信代行を担当し、顧客と対話しながら運用方法を考え、オペレーションを整える仕事をしていました。その後、教育スタートアップへ転職し、CSとしてチーム立ち上げやお問い合わせ対応、保護者向け相談会、LINEの運用設計などを幅広く経験しました。

子どもや保護者と向き合う仕事に面白さを感じる一方で、一人ひとりの状況が異なり正解がない難しさもありました。そうした経験を重ねる中で、「今後は中学生や高校生が、自分自身で進路を考え、意思決定する機会に関わりたい」という思いが次第に強くなっていきました。

CPFを初めて知ったのは、大学生だった2017年です。学校の先生を支援する会社で長期インターンをしていた頃、教育関係の表彰プログラムを通じて知りました。

その後、2024年にFacebookでCPFの活動報告会を見つけて参加したことをきっかけに、職員と話したり、その後もやり取りを重ねたりする中で、少しずつCPFとのつながりが深まっていきました。

当初は副業という形で関わることを相談していましたが、次第に自分が取り組みたいことと前職の事業方針とのズレを意識するようになりました。それなら本業そのものを変えようと転職を決意し、CPFに入職しました。

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現場に触れて見えてきた、自分が本当にやりたかったこと

  1. Q入職後、どのような経験を重ねていったのでしょうか?

入職時は、地域みらい留学の現場に近い業務とこれまでの経験を活かせるマーケティング業務を半分ずつ兼務する予定でした。しかし実際のところ、繁忙期にはマーケティングの業務比重が8〜9割を占めるようになりました。公式LINEの配信設計や、中学生と保護者が外部アドバイザーとの面談を通じて留学先の高校を絞り込む施策などを担当したものの、期待されていたほどの成果を出せず、「CPFに対してまだ何も貢献できていないのではないか…」と深く悩む時期がほとんどでした。

状況が変わるきっかけとなったのは、入職半年後に担当した首都圏の中学校営業や、地域・高校を紹介するSNS動画の撮影ディレクションです。教育委員会や中学校を訪問した際に、校長先生が「こんな高校の選び方もあるんですね」と表情を変える瞬間や、撮影先で高校生が自分の言葉で高校や地域での暮らしを語る姿に触れました。デスクの前だけでは見えなかった教員・高校生・地域を支える大人たちに接する中で、「もっと現場に近いところで働きたい」という思いが日に日に強くなっていきました。

現場での経験が十分にあったわけではなく葛藤もありましたが、まず目の前の業務に向き合いながら、何に悩み、将来どんなことをしたいのかを同僚や上司に伝え続けていきました。

沖永良部島でのプロジェクト立ち上げ「『生徒募集』だと思っていたら『暮らし』をつくる仕事でもあった」

  1. Q沖永良部島に行くことを決めた経緯と、現在の仕事について教えてください。

2026年2月、上司との面談で「沖永良部島に行ってみないか」と提案を受けました。驚きとともに、直感的に「面白そうだ」と感じました。勢いだけで決めず、1週間じっくり考えました。決め手は2つです。1つは、葛藤も含めて理解してくれている上司が任せてくれた、その期待に応えたいこと。もう1つは、現場で役場や高校と一緒に動く仕事が、自分の意思と重なっていたことです。

5月から沖永良部島の知名町で現地プロジェクトリーダーとしての仕事が始まりました。着任前は「生徒募集」が主な仕事だと思っていましたが、実際には生徒たちが安心して過ごせる「暮らし」をつくる仕事の比重も大きいことに気づきました。どれだけ高校の魅力を伝えても、住まい・食事・見守り・緊急時対応といった受け皿がなければ、保護者は安心して子どもを送り出せません。

現在は2027年度の生徒受け入れに向け、イベント出展やパンフレット制作などの生徒募集と、住居整備や食事提供などの体制整備を同時に進めています。知名町役場、沖永良部高校、商工会、地域住民の皆さん、保健所など多岐にわたる関係者と協働しながら、単に生徒を集めるだけでなく「沖永良部高校でどう育ってほしいか」という共通ビジョンを創り出すことを大切にしています。

未経験のことばかりの日々ですが、中学校営業で培った伝える力、動画ディレクション、LINEやCRM(顧客管理)の運用、前職での保護者対応など、一見異なるこれまでの経験が、今の現場で活きています。

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自分の思いを発信すれば道は拓けることを実感

Qこの仕事の面白さや、自分自身の変化をどんなところに感じていますか?

7月に大阪で開催された合同説明会「日本まるごと高校フェス」では、想定を超える数のご家族が沖永良部高校のブースを訪れてくれました。ブースで高校の魅力を語る高校生たち。その話を聞いている中学生の表情も、少しずつだけれど変わっていきます。「ここなら、自分にも何かできるかもしれない」。中学生のそんな気持ちが芽生える瞬間に立ち会えることが、この仕事の醍醐味です。

住まいの整備には、建築基準法や建物用途変更の話が出てきます。食事提供は保健所への相談が必要です。自治体の補正予算のスケジュールも踏まえて動かなければいけません。行政の仕組みに関する新しい学びの連続です。役場の方々や外部アドバイザーに教わりながら必死に走り、苦手な報告書作成には議事録や音声メモをもとにAIを活用するなど仕事の進め方も工夫しています。

自分のやっていきたいことを口にし、何に悩み将来どうしたいかを伝え続けてきた積み重ねと、CPFが現地にプロジェクトリーダーを置き、役場や高校と一緒に立ち上げを支える新しい伴走モデルの検証をスタートするタイミングが重なったことで、今この大きな挑戦ができています。CPFには、意思を発信すればしっかりと受け止め、背中を押してくれる環境があると実感しています。

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島外生の受け入れを「スタート」に。高校から地域へ広がる循環をつくる

Q最後にこれから実現していきたいことを教えてください。

島外の高校生を受け入れることは、ゴールではなくスタートだと思っています。島の外から生徒が新しい視点を持ち込み、それを見た島内の生徒にも「一歩踏み出してみよう」という空気が生まれ、高校が変わり、地域も変わっていく。そんな明るい循環をつくることを目指して頑張ります。また、知名町で得た住まい整備・生徒募集・行政との連携の知見を、全国の地域へ共有していきたいです。

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