インタビュー
【地域みらい留学 in 北海道】「今度は私が夕張を支えられる人になりたい」 地域みらい留学1期生としての経験を通して
埼玉県狭山市から北海道の夕張高校へ進学した植田梨々(うえだ・りり)さん(高校3年生)。学力だけで評価されない環境を求めて地元を離れる決意をしました。1期生として飛び込んだ夕張高校では、学校の魅力発信や部活動の取り組み、一人暮らしへの挑戦など、自ら選択し行動する日々を過ごしています。
兄が地域みらい留学で島根県の隠岐島前高校に進学していたので、中学校に入った頃から、こうした選択肢があることは知っていました。それと、地元の高校に進学すると、どうしても学力で評価されたり縛られたりすることが多いと感じていて、それがすごく嫌だったんです。地域みらい留学なら「人」を見てくれる高校がたくさんあると感じていたので、「絶対地域みらい留学で進学する」と決めていました。
最初は兄と同じ高校を目指していたのですが、中学3年生の9月頃、東京で開催された合同説明会に参加したときに、夕張高校のコーディネーターの方が母と私に話しかけてくださり、初めて「夕張」という存在と夕張高校を知りました。
夕張高校は、私が地域みらい留学の1期生になるタイミングでした。他の高校だと受け入れ体制や土台がすでにできあがっている状態だと思うのですが、夕張高校はそれが一切なく、「一緒に作り上げていこう」と言ってくれたんです。そこに一番魅力を感じて、進学を決めました。
母は「いいんじゃない」と賛成してくれたのですが、父からは、それまで目指していた高校から急に変更したこともあり、「本当にそこでいいの?」と何回も確認されました。「なんで夕張高校なの?」「どこに惹かれたの?」と面接並みに質問されたのですが、それに全部ポンポンと答えていったら、私の本気度が伝わって「そこまで行きたいなら頑張ってきな」と背中を押してくれました。
入学前に、地域みらい留学で夕張高校に進む生徒が自分だけであることを知り、地元の子たちの輪の中に1人で入っていくことになるので、なじめるかどうかは不安でした。でも、その不安は入学式の時にすぐ解消されました。みんなが「なんで夕張に来たの?」と色々な話をしにきてくれて、すぐに友達ができましたね!

特長的なのは「商品開発」の授業です。普通科でありながら、生徒が夕張の特産品を使ってスイーツや食事系のメニューを作る授業があります。
私のグループでは今、「片手で食べられるヘルシーなピザ」を目指して開発を進めています。「ヘルシーなものを食べたいけれど満足感もほしい」というメンバーの意見から始まって、生地や具材を工夫しました。夕張の食材として長芋を使ったり、カロリーを抑えるために肉の部分に鹿肉を使ったりしています。コンテストに応募して通過すれば、実際に商品化される機会もあります。
高校生が主体となって夕張高校の魅力を伝える活動「やまびこアンテナ」の立ち上げに関わりました。最初はコーディネーターさんや先生方と私の数人で「こういうのを作ったらいいね」と話し合うところから始まり、自分の思いが形になっていく経験ができました。
そこで私は全国に向けたオープンキャンパスの開催を提案して年間行事に組み込んでもらうなど、1期生として土台作りに携われたことは、自分自身の成長ややりがいにつながりました。

最初は寮に入っていたのですが、高校2年生の8月から一人暮らしを始めました。自分のやりたいことに時間を費やすために決めた選択で、身の回りのことをすべて自分でやるようになりました。一番成長したのは料理ですね。いかに洗い物を出さずに楽においしく作れるかを考えながら、効率よく料理ができるようになりました。
また、夏の短期間ですが、郵便局で夕張メロンの発送作業のアルバイトも経験しました。地域の特産品に触れながら働くことができ、メロンをいただくこともあって(笑)、地域の方々に温かく支えられていることを実感しました。

「人に自分の思いや本音を伝える力」がついたことです。以前はあまり自分の思いを言葉にして人に伝えることができませんでした。寮生活や学校で大人の方々と接する中で、「言葉にしないと伝わらないよ」と率直に指摘してもらう機会がありました。
それからは、言葉を選びつつ、自分の考えや思いを積極的に伝えるよう意識してきました。その結果、今では自分の意見をしっかり言葉にできるようになり、一番成長できた部分だと感じています。
先日、地域みらい留学の説明会に在校生として参加しました。そのときに中学生や保護者の方々に自分の言葉で説明することができ、会場に来ていた両親から「話すのが本当に上手になったね」と驚かれました。

卒業後は、北海道内の短期大学への進学を予定しています。もともとは高校を卒業してすぐに、高校コーディネーターになりたいと思っていました。高校生活の中でコーディネーターにたくさん支えられてきたので、今度は自分が、不安を抱えて留学してくる高校生を支える側になりたいと思ったんです。
ただ、コーディネーターの任期や将来の可能性について担任の先生に相談した際、「大学などでコミュニケーションや心理学についての知識を深めておけば、任期が終わった後もさまざまな道に進めるよ」とアドバイスをいただき、短期大学で心理学などを学ぶ道を選びました。
将来は、自分が夕張で経験したように、地域や誰かの力になれるような「頼れる大人」になりたいです。地域みらい留学で身についた生活力や伝える力を活かして、これからも北海道の地で挑戦を続けていきたいと思います。

この企画は北海道新聞社のWebサイト「MouLa HOKKAIDO」に掲載された地域みらい留学生のインタビュー記事を転載しています。
Webサイト「MouLa HOKKAIDO」では北海道における地域みらい留学の特設サイトを開設していますのでそちらもぜひご覧ください。
https://moula.jp/feature/c-mirai_hokkaido/
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